シリーズ

ピラミッドの白い外壁は、どこへ消えた? ギザに残る意外な手がかり

かつて白く輝いていたギザのピラミッド。その巨大な外壁を覆っていた石は、一体どこへ消えた? 実は別の建物に再利用され、隣のピラミッドには今も当時の外装が残っている。約4,500年の歴史が生んだ、意外な姿の秘密を紹介します。

公開 読了 約6分
ピラミッドの白い外壁は、どこへ消えた? ギザに残る意外な手がかり
場所
ギザ
読了
約6分
⌖ ギザシリーズ

エジプトのギザでクフ王の大ピラミッドを見上げたとき、その巨大さに圧倒されました。

遠くからはきれいな三角形に見えるピラミッドも、近づくと巨大な石が何段にも積み重なっています。一つひとつの石が想像以上に大きく、約4,500年前につくられた建造物とは思えないほどの迫力でした。

現在のピラミッドといえば、砂色の石が積み重なった、ごつごつとした姿が印象的です。

しかし、建設当時のピラミッドは、今とはまったく違う外観をしていました。

もともとは表面が白い石灰岩で覆われ、太陽の光を反射する、滑らかで美しい建造物だったのです。

ここまでは聞いたことがある人もいるかもしれません。

では、あの巨大なピラミッドを覆っていた白い石は、一体どこへ消えてしまったのでしょうか。

今見えているのは、本来は隠れていた石

クフ王の大ピラミッドは、主にギザ周辺で採れる石灰岩を積み重ねてつくられました。

しかし、現在見えている石の表面がそのまま完成時の外観だったわけではありません。

古代エジプトの人々は、積み上げた石の外側を、さらに質の高い白い石灰岩で覆っていたのです。

この石は、ナイル川の対岸にあるトゥーラという地域から運ばれました。

きめが細かく、白く美しい石灰岩を丁寧に磨き、ピラミッドの表面が滑らかな斜面になるよう仕上げていました。

スコットランド国立博物館によると、磨かれた外装石は太陽の光を反射し、ピラミッド全体が輝くように見えていたそうです。

つまり、私たちが現在見上げている巨大な石の段々は、もともと外側からは見えないはずだった部分なのです。

夕暮れのギザのピラミッド

夕暮れのギザの三大ピラミッド。現在は外装の大部分が失われ、内部を構成する石が見えている。

失われた白い石は、別の建物に使われていた

では、ピラミッドを覆っていた大量の外装石は、どうなったのでしょうか。

長い年月の中で、ピラミッドの外装は少しずつ失われていきました。

その原因は、単なる自然風化だけではありません。

外装に使われていた石の多くは取り外され、別の建物をつくるための材料として再利用されたのです。

中世には、地震による損傷などもあったとされ、その後、外装石の一部はカイロの建築物にも使われました。

何千年も前にファラオのためにつくられた建造物が、時代を経て、別の人々の暮らす街をつくる材料になっていたわけです。

スコットランド国立博物館の解説によると、19世紀までにはクフ王の大ピラミッドの外装石の大部分が取り除かれていたそうです。

今ではピラミッドの足元に、わずかな外装石が残されています。

あれほど巨大な建造物でも、長い歴史の中では石材を再利用する対象になっていたというのは、少し意外に感じます。

実は、隣のピラミッドには今も白い外装が残っている

そして、ギザには建設当時の姿を想像するための手がかりが、今も残っています。

それが、クフ王の大ピラミッドの隣にある「カフラー王のピラミッド」です。

頂上付近に白い石灰岩の外装石が残る、ギザのカフラー王のピラミッド

ギザの三大ピラミッドのうち、中央に位置するこのピラミッドは、頂上付近だけ表面が少し違って見えます。

よく見ると、上の方には滑らかな斜面が残り、その下にはごつごつした石が積み重なっています。

実は、この頂上付近に残る滑らかな部分こそが、建設当時の外装石なのです。

カフラー王のピラミッドも、かつては白い石灰岩で覆われていましたが、現在は頂上付近にその一部が残るだけになっています。

エジプト観光考古省も、この外装石が当時の姿を伝える貴重な部分であると紹介しています。

つまり、古代のピラミッドがどのような表面をしていたのかは、想像図だけでなく、現在のギザでも確かめることができるのです。

もちろん、残っている石も長い年月を経ているため、建設当時のような真っ白な輝きがあるわけではありません。

それでも、滑らかな外装と、その下に現れた石の段々を見比べると、かつての姿が少し具体的に想像できます。

ピラミッドの見え方が変わる、小さな発見

ギザのピラミッドを訪れたとき、印象に残ったのは、何よりもその大きさと石の迫力でした。

しかし、今回の話を知ると、あのごつごつした姿にも違う見方が生まれます。

現在の姿は、単に古くなって色が変わったものではありません。

もともと建物を覆っていた白い外装石が失われ、内側の石積みがむき出しになった姿なのです。

そして、失われた石の一部は別の建物へと姿を変え、わずかに残った外装石が、今も古代の姿を伝えています。

約4,500年前、太陽の下で白く輝いていたピラミッド。

その外装が失われた今だからこそ、私たちは巨大な石を積み重ねた建造技術を間近に見ることができます。

次にギザを訪れるときは、クフ王の大ピラミッドの石の段々だけでなく、カフラー王のピラミッドの頂上にも目を向けてみたいと思います。

そこには、かつてのピラミッドの姿を伝える、小さな手がかりが残っているのです。

実際にギザのピラミッドを訪れ、内部にも入った体験は、ギザを訪れた日の旅行記に書いています。

参考資料

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

この記録が、次の旅の小さなきっかけになればうれしいです。

SHARE THE JOURNEY旅のワクワクを、誰かにも。

STORY TRAIL

この旅の話の、その先へ

同じ気持ちになれる旅の話

「発見」をもっと

この気分の旅をすべて見る  →

エジプトの旅の話

同じ土地で書いたもの

エジプトの記事をすべて見る  →

KEEP EXPLORING